サクラ





 いつも通る帰り道



 昨日までは満開だったサクラも、

 一日たっただけなのに三分の一くらいは散ってしまっていた。




   〜サクラ〜




「あ、やっと終わったんだ!!」




 いつもの5人メンバーが授業と言っていいのか分からない授業を終え、

 3Dの教室だけが存在する校舎から出てきた。


 すると、黒銀の校門の前には見たことのない一人の女の子が
 彼らに向かって大きく手を振っていた。





 日向と土屋は同じタイミングで後ろを振り向き、

 自分たちの後ろには人がいない事を確認すると頭に?マークを浮かべた。




「だれ?だれ?だれ?」

「わっかんねぇ………。でもよ、」




 何処からどう見ても落ち着きのない日向の問いに

 土屋は扇子をバッと顔の前で広げて答え、一息ついた。


 そして今度はパチンと音を立てて扇子を閉じて一言。




「かなり可愛くね??」

「「うんうん」」




 その土屋の一言に同感したのは矢吹と日向の2人だった。

 小田切はその様子を、ため息をつきながら呆れたように見ていて、

 武田は何とも言えない表情で校門の前に立っている一人の女の子を見つめていた。





 そんな武田の様子をおかしいと思ったのは他の4人。

 つまり、その場にいた全員。ということにもなるのだが。




「おーい、タケちゃんどったの??」

「なんか変なもん食ったか?」

「道に落ちてる物は食べちゃ駄目だよーー」

「………めずらしいじゃん」




 上から矢吹、土屋、日向、小田切。

 矢吹は何故か本気で武田の事を心配し、

 土屋と日向はふざけて笑っていて、

 小田切は、何か珍しい動物を見るかのような視線で武田のことを見ていた。





 5人の間に何とも言えない空気が流れ込む。

















「……みんなして何なんだよっ!!」




 そんな微妙な空間に耐えられなくなった武田はついにキレた……?




「や、だってさぁ。
 いつもだったらあんな可愛い子見つけたら日向とか隼人と同じ反応するじゃん?」

「だよなぁ!つっちーの言う通りだぞ!!」

「……………。」




 土屋と日向の言ったことに黙り込んでしまった武田。

 つまりは図星ということだろう。

















「ねぇねぇ」




 その間に隼人はあの女の子の元へ向かい、もう既に辿り着いていた。




「………?私ですか?」

「そうそう君!かわいいねぇ〜〜。名前なんてゆーの??」

「あ、えっと……。ですけど………」

「へぇー。ちゃんね!いやぁ、まじで可愛い!!」

「えぇ?!そ、そんなありません!!」




 急に自分の目の前に現れ、

 馴れ馴れしく自分の肩を抱きながら名前を聞いてきた隼人に戸惑いの様子を隠すことが出来ない


 一方隼人はそんな事はお構いなしにメアドまで聞き出そうとしていた。





 ――――その時。




「ちょ、離せよ!!隼人っ!!」

「………?!タケ……?」

「「「………?!」」」




 武田は隼人とを引き剥がし、隼人の手をの肩から振り落とした。

 そのことに一番驚いたのは隼人だったが、他の3人だって目を丸くするほど驚いていた。




「あ、啓太くん!!」



「「「啓太くんーーー?!」」」

「………へぇ」




 の口から出た意外な人物の名前に驚いた3人。

 唯一竜だけは驚かずに、何故か感心していた。


 そして武田は“しまった!”とでも言いたそうな顔をしていた。




 6人の間に少しの間沈黙が訪れたが、

 みるみるうちに矢吹、土屋、日向の3人の顔はニヤついていった。




「もしかして……?」

「もしかしなくとも……?」

「「「タケの彼女ぉーー?!」」」




 3人は大声でそう叫ぶと武田の周りに集まり、

 背中や肩などを思い切り叩いた。




「やるじゃんタケ!!」

「こんな可愛い子が彼女??ずりぃーー!」

「やるぅ〜〜!!」




 手加減無しで叩かれた武田はゴホゴホとむせていた。


 その様子を心配そうに見ているに気づいたのは小田切だった。

 小田切はの元へゆっくりと歩いていくと小さな声で一言呟いた。




「気にすんな」

「え?……あ、でも………」

「いつものことだし。」

「………そ、そうなんだ……」




 の表情は不安から安心に変わった。




「あ、啓太君のお友達?」

「………まぁそんなとこだ」

「うーん。じゃぁ“竜”くん??」

「?!………知ってんの?」

「啓太君が沢山話してくれるの。クラスの事とか友達の……」

「わぁーーーーーーー!!!!」

「「??!!」」




 が言いかけた言葉は武田の叫び声によって中断された。

 武田は急いでの手を握り、走り出す。




「俺先に帰るから!!」




 そう言い残しながら。

 の手を取って走り出した武田に

 矢吹、土屋、日向の3人は“がんばれよー!!”と叫んでいた。

 小田切はと言うと相変わらず無表情だが、それでもいつもよりは笑っていたように考えられる。



































「はぁはぁはぁ…………」

「ご、ごめん!いきなり走っちゃって!!」

「う、ううん。いいよ?別に」




 2人はいつも帰りに通る、

 桜の木が並んでいる道の真ん中で止まっていた。


 お互いに呼吸を整えてまた話し出す。




「で、なんで黒銀なんかに来てたの?」

「んー。特に理由は無いんだけどね。なんか会いたいなぁって思って!!」




 そう言って無邪気に笑う

 武田にとっては随分と可愛く見えていた。




「そ、そっか………」

「うんっ!あ、桜……」

「へ?あぁ、もう散り始めてるね」

「残念ーー!啓太君と見たかったなぁ」




 2人は桜の木をほぼ真下から見上げていた。

 下から見上げる桜はまた一段と綺麗に見えた。




「じゃあさ!!来年からは毎年2人で満開の桜を見に来ようよ!!」

「……うんっ!!約束だよ!」

「うん!約束!!」




 そう言って2人は小指を絡めた。

























 “毎年一緒に見ようね”









 それは魔法の言葉









 2人が離れることのない









 永遠の言葉

































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あとがき

    んん?!これでいいのか?!(笑(知らん
    桜散り始めちゃいましたよねぇ。。
    淋しいです。



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