彼氏?





 「悪いね。こいつ俺の女だから………帰ってくれる?」


 たとえ冗談でも、

 まさか慎がそんな事を言うなんて思っても見なかった。





   〜彼氏?〜





 慎のその言葉に吃驚して気を抜いちゃったんだと思う。






「ぇ?なに?」




 思わず名前を呼ばれて返事をしてしまった。

 しかも私、振り向いちゃってるし……。


 ……私を呼んだ声の主は竜だった。

 竜に続いて隼人も話しかけてくる。




「………やっぱりじゃねぇか」

「はぅ!!……ごめん隼人」

「何で一回目、俺が話しかけたとき振り向かなかったわけ?」

「えぇーーと………なんとなく」

「……へぇ」




 怖い!!

 怖いよ隼人!!

 だ、誰でも良いからこの空気をどうにかして下さい……!!




……?まじ?」




 今度は啓太が凝視してる……。

 まるで、ヘビに睨まれたカエルのよう………

 ん?ヘビにつままれたっだっけ?


 そんな事を考えていたら啓太からとても嬉しい言葉が発せられた。




可愛いーー

「へ?」

、可愛いよ!!……うん、すっげぇ可愛い。てか綺麗!!

「啓太……ほんと?」

「うんっ!!」




 啓太ってこんな事言う人だったっけ……?

 しかも綺麗なんて言われたの初めてかも……。

 まぁ、でも啓太のそんな一言には素直に嬉しかった。




「ありがとうっ!!」




 そう言いながら私は啓太に抱きついた。

 ……んだけど、虚しく引っ剥がされたのであった。




「慎………」

「なに?まじで知り合いなの?こいつ等と」

「あ、うん…」

「へぇーー」




 慎は5人を目を通す感じに軽く見回した。

 5人……とくにつっちー、隼人は慎に向かってガン飛ばしてたけど……。

 気まずかったから一応……紹介を。




「えぇーーと。
 ………こちらは今、私が通ってる黒銀学園の3D生徒諸君!!
 ……もちろん私も3Dなんだよ。
 で、こっちは沢田 慎。だす……」

「“だす”って何だよ」

竜!突っ込まないで!!ちょっと今必死なの!!

「なんで小声なんだよ……」

え、特に理由は………




 の奴……

 竜と何話してんだよ……。

 なんかムカツク。






「え?なに?隼人」

「………帰るぞ」

「へ……?」




 俺がの腕を引っ張ると、は心底不思議そうに俺を見上げてきた。


 その時だよ……。

 急にを引っ張れなくなった。


 原因はさっきの慎とか言う奴。

 あいつがのもう片方の腕を掴んでたんだよ……




「悪いんだけど。こいつ、俺の女だから帰ってくれる?って言わなかったっけ?」

「あぁ?!」




 いや、あの……

 せめて私を間にガン飛ばし合うのは止めて欲しいものです……。


 しかも私、慎の女になった覚えはないよ?


 さっき“俺の女”って言ってたのは、

 きっと私だってばれないように隼人達を帰らせようとして言ったと思うんだけど、



 なんでもう一回言うの……?


 もうばれちゃってるから意味ないのに……。






「へ?なに?慎」

「早く行こうぜ」

「え……あ………」

「なに?お前、こいつ等と帰んの?」

「……う…ん」




 私が頷くと慎は小さくため息を付いた。

 その時に隼人が何かに勝ち誇ったな顔をしていたのは………きっと気のせい。


 “とりあえず今日の所は帰らないといけない。”

 そう私の直感は叫んだいた。




「あのさ……慎。今日は帰るけど、また一緒に遊ぼっ!!」

「あぁ。いつでも相手してやるよ」

「ありがとっ!!」




 俺は今、隼人の横で

 あのと話してる慎って奴にガン飛ばしながら扇子仰いでるんだけどよぉ


 隼人怒ってるぜ……。

 さっき、俺達と一緒に帰るってが言ったときは機嫌良くなったと思ったのに……。


 も気付けよな。

 お前の行動一つ一つが隼人を怒らせたりしてるっつーことを。



 そん時、見ちまった……

 慎って野郎がの頬にキスして行くとこを




「慎っ?!」




 しかもで顔真っ赤にしてる。

 流石に俺もこれには腹立ってきた……

 隼人に至っては殴る準備をしてて、啓太と竜が横から止めに入ってる。


 ま、みんな同じ気持ちだろうけどよ




「じゃぁな」

「うん……バイバイっ!!またねぇ慎!」

「あぁ」




 はかなり大きく手を振って慎って奴を見送ってた。

 周りには結構人いんのによ……

 恥ずかしい奴だな。


 だけど、今の俺達はそんな事考えてる場合じゃない。



































 き、気まずい……。

 だってみんな喋らないんだもん……。


 どうしよう……

 みんな、そんなに私が学校サボったこと怒ってるのかなぁ?


 う゛ぅ〜〜。本当にどうしよう…

 ヤンクミに怒られるのだけは嫌だし……



 てかこんなに公園にいたくないなんて思ったのは初めてだよ…

 あの後、隼人が私の手を引っ張って着いたのは公園。

 当然みんなも一緒にいるんだけど……




「なぁ、ーー」

は?!な、なに?!啓太

「………そんなに驚くことないじゃん」




 そりゃ驚くって!!

 いままでずっと静かだったのにいきなり話しかけられて驚かない人の方が可笑しい!!

 啓太以外のみんなは機嫌悪そうにどっかいろんな方向を見てるし。




「……な、なんでしょうか…?」

「あ、えぇーーと……あの慎って奴さ、」

「う、うん……?」

「…………本当にの男なの?」




 俺が聞くとはキョトンとしていた。

 あれ?俺、変なこと聞いた?


 ……てかみんなさ、目で俺に“慎って奴のこと聞き出せ”とか送んないでほしいんだけど。

 でも、聞かないとみんな怒りそうだったから、

 に思い切って聞いてみたら、その瞬間にみんなは今までどっかに向けてた視線をに向ける。

 でもの返事は無し。てかかなり驚いてるみたいなんだけど……。どゆこと?




「あのーー?さん?聞いてるーー??」

「え、あ!あぁ……うん。聞いてます」

「よろしい。で?」

「で?」




 俺を直視しながら聞き返さないでよ……。

 なんか今日のはいつもと違うから直視されると妙に緊張するんだけど……




「早く言えよ」




 あ。ついに隼人がキレた……?

 そしたらの肩がびくついた。


 ほんとに見てて飽きないよね。ってさ




「隼…人……。うん……。えぇーーと
 ……慎は彼氏とかじゃないよ?てか私、彼氏って出来たこと無いし。




 は自分で“彼氏が出来たこと無い”って言ってて悲しくなったらしい。

 一人で落ち込んでる。




「へぇ」




 隼人はまだ疑ってるみたいだ。

 ……そりゃぁねぇ…、あれはどっからどう見ても付き合ってるみたいな感じだったし……

 竜の方を見てみたら、やっぱり竜は何考えてるか分からない。




「本当だよっ!!信じてないの……?」




 あ、ヤバイ……。

 泣くかも……。

 は信じられてなかったり、信用されてないって事にかなり敏感だ。

 過去に何かあったらしいけど、いままで聞いたことはない。




「わっ、泣かないでよ!!ね?」

「う゛ぅ〜〜啓太ーー。……だって隼人がぁーー」

「俺じゃねぇだろ」

「隼人がを信じてやんねぇからだろ?!」

「…………ちっ」

「ほら、!!泣くなってば……」

「……啓太ー!!」




 俺がそこまで言ったとき、は俺に抱きついてきた。

 ………俺ってば隼人のおかげで役得なんじゃない?


 でも、正直後ろからの視線が痛い。てか怖い。

 すぐ振り向く勇気もないから横目で見てみたら……


 怖っ!!


 つっちーも日向も、竜も隼人もみんな睨んでる!!

 俺……明日は病院行きかな………




「わぁかったよ!!信じりゃいいんだろ?!」




 隼人の言葉一つでが泣きやんだ。




「………信じてくれるの?」

「嘘じゃねぇんだろ?」

「当たり前じゃん!!」

「はぁ……信じてやるからとにかくタケから離れろ」

「………なんで?」

「なんでも」

「はーい」




 が素直に俺から離れて隼人の所に向かうと、さっきまでの隼人の狂気が嘘みたいにおさまった。

 まぁ、たぶんまだ少しは怒ってるんだろうけどね。


 俺と、その慎って奴には………ね……。



 俺……いまのうちに帰ろっかな…




「タケ」

「はいっ?!」

まさか帰る気じゃぁねぇよな?




 怖っ!!

 いや、まじで怖いから隼人!!


 の隣にいる竜に助けを求めようかと思ったけど駄目だ……。

 すっげぇ呆れた目でこっち見てるよ……。




「あのさ……隼人、俺まだ死にたくは…」

「…………」




 あのーー、隼人さん?

 そんな徐々に近づいて来なくても……

 しかも手……ボキボキなってるんですけど………。


 え?まじで?

 これまじで殺られるんデスカ?




「隼人っ!!啓太になーにしてんのよっ?」

「………ちっ」

!!」




 助かった!!

 まじで殺されるかと思ったもん。


 はぁーー良かった!!


 
 隼人は舌打ちしながらもと竜んとこに行った。


 そん時、つっちーと日向が近づいてきた。

 んで、俺の前で立ち止まって一言。




「「お互い頑張ろうぜ」」




 そんなこと言われても……。

 俺、なんて言えばいいんだよ。



































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あとがき

    はい!番外編(?)終了ですw
    次からはドラマ沿いに戻ります!!
    またの機会に慎達はバンバン出てくる予定なのでお楽しみに……!!



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