犯人探し





 とりあえず、慎が家に泊まっていったことは、なんとかはぐらかせた。

 竜、隼人、つっちー、啓太、日向の5人はまだ納得してないけど……


 今はそれより犯人探し!!





   〜犯人探し〜





「じゃぁさ!!食料とか必要だよな!!」

「お菓子持ってこうぜ」

「じゃぁ私がサンドイッチ作ってきてあげよう!!」

「おぉーーーーーーー!!ナイス




 ………お前等、なにが“ナイス”なんだかわかんねぇよ。

 さっきは、ん家に誰だかわかんねぇけど男が泊まったっつーこと聞いてみんな怒ってたのによ。


 忘れるの早すぎなんだよ




「つか、お前等別の方向いってねぇか……?」




 俺の呟いた言葉を聞いてた奴は、もちろんいなかった。



































「……はい、集合ーーーーー!!」




 隼人……言ってることはなんか格好いい気もするけどさ、

 アヒルさんにまたがりながらじゃ……




「よしこれが証言を元にして作った犯人像だ。………悪くねぇ」




 私はつっちーから絵を受け取った。

 ………誰が描いたんだろう?


 なんか必要以上に上手い気が……。


 でもさ……上手いけど、これじゃ捕まらないと思うんだけど




「これで準備は万端だな」

「おぉーー!!」

「よっしゃーー!!やるぞーーー!!」

「おぉーー!!」





ーー!!」

「……なにー?隼人」

「サンドイッチよこせーー」

「了解ーーーー!!」




 隼人がアヒルに乗ってギーコギーコしながら私を呼んだからちょっと戸惑った。

 なんで戸惑ったのか自分でもよく分かんないけど……。



 隼人に言われた通り、私は持ってきたサンドイッチを取り出してみんなに配った。



 あの後急いで家に帰って作ったからすっごい大変だったんだから!!




「「「「「うっめぇーーーーー!!」」」」」




 ………まぁ、みんなが喜んでくれるんならいいけどね!!




「竜も……はいっどーぞ」

「サンキュ」

「いえいえ。………ねぇねぇ」

「なに?」




 ……格好いい人ってなにしても格好いいんだなぁ。

 竜はサンドイッチ食べながら聞いてくるんだけど、食べてるときも格好いいんだねぇ。




「あのさ、……これで捕まる思う?」




 正直、私はこの絵を見た瞬間に

 “本当にこれで捕まえる気なんだろうか?”って思ったから竜に聞いてみた。




「………無理だろ」

「あはは………だ…よねぇ」




 竜も同じ事を思ってたらしい。

 呆れたように言っていた。



 でも、どう見てもみんなはこれで捕まると思ってるっぽいよ。

 まぁ、可能性がないわけじゃないとも思うけど……。



































 やっぱり……

 あれじゃぁ、見つからないよねぇ。




「んだよ、ここも収穫無しかよーー」




 私達はパチンコ屋から出てくる。

 まぁ、こんなとこから高校生が出てくるなんて絶対許されないことなんだろなぁーーー。

 別に私は行きたかったわけじゃないけど、みんなが行くって言うから私も一緒に付いてきた。


 私、自分で言うのもあれだけど、学校の校則とかちゃんと守るいい子じゃないし……。




「やっぱあの絵がキツかったんだ」

「顔なしだもんな」

「高校生が堂々とパチンコ屋から出てくるなんていい度胸じゃねぇか」

「「「うんうん」」」




 …………ん??




「「「「山口?!」」」」
「「ヤンクミ?!」」




 な、なんでこんなとこにいるの?!

 ……ヤンクミっていつでも何処にでも現れるんだね。



































「犯人探し?!」




 場所は変わっていつもの公園。




「あぁ。仲間がハメられたっつーのに黙ってられっかよ」




 つっちーが言う。

 まぁ、仲間のことになるとみんな周り見えなくなるからね。




「そうか……お前等こっそり友達思いだな。で?何か手がかりが見つかったのか?」




 竜がヤンクミに近づいて例の紙を渡す。

 そう……あの必要以上に上手い絵が描いてある紙。




「これじゃ探しようがないだろ」

「……………」




 竜の言葉とあの紙を見てヤンクミも言葉に詰まったようだ。




「………お前等の気持ちはよく分かった。でも今日は帰れ
 こんな時間までうろついてるとこ教頭にでも見られたら大変だろ?」

「でもよぉ」

「いいから帰れ。……それには女の子だろう」

「うん………。そうだね、帰ろっか」

「あぁ。そうしろ」




 ここで、後ろからあの背の高い警察の人が現れた。




「おや?おやおや??これはこれは皆さんお揃いで」




 ……うわっ!!何したのよ


 って思ったのはどうも私だけじゃないらしい。

 みんなの顔が不機嫌な顔に変わった……と思う。


 ヤンクミは一応挨拶してたけど、みんなは睨みつけてるし……




「こんな遅い時間に課外授業ですか?」

「まぁ、そんなとこです」

「そちらは……見回りですか?」

「えぇ、最近物騒な事件が起こってるんでね……あっ?まさかお前等じゃないだろうな!!」




 この言葉には流石に嫌な気分になる。

 ……まぁ、みんなはとっくに嫌な気分になってたんだろうけど。


 みんなは警察の人の言葉に頭にきたらしく、突っかかろうとした。

 ……それを止めたのはもちろんヤンクミ。




「……刑事さん、将来ある若者を証拠もなく疑うのは止めていただけませんか?」

「………将来ある……ねぇ」




 警察の人は私達のことを見下したように見回す。

 ……隼人は今にでも殴りかかっていきそう…。

 大丈夫かなぁ……?




「はい。」

「ま、せいぜい頑張って。……アディオス」

うわっ……




 あ。………やば。

 あまりにもあの人が似合わない台詞を吐くから思わず“うわっ”なんて言っちゃった。


 ……目を見開いてこっち見てるし……。

 みんなもちょっと驚いたらしい。

 隼人以外の5人は唖然としてて、隼人は……笑ってるし。




「………なんでも……ない…で……す」




 は顔を俯かせて小さく呟く。

 少しの間、沈黙が訪れていたが、

 一番先にふと我に返ったのはあの刑事だった。


 警察の人は何も言わず去っていった。




「……ムカツク…!!」

「よかったぁ〜〜。怒られなくて……」




 公園に残った声はヤンクミの悔しそうな声と、の安心しきった声。

 ……それと隼人の笑い声。



































 さっき、ヤンクミと別れて私達は家に帰る。

 ……で、近道しようとして公園を横切ってた。






 その時。






 いきなり私達の目の前に大勢の男の集団が現れた。




 工藤さん………?




「よぉ。久しぶりだな」

「工藤さん」

「どうだ?有名人になった気分は?」

「え?」

「まさか………」




 工藤さん達はいきなり笑い出した。

 怪しい……。


 もしかしたら………




「工藤さん達がやったんですか?」

「ん?……じゃねぇか」




 珍しく、が真剣な顔で聞いていた。

 俺達はの横で、が聞いたことと同じ事を思っていた。




「答えてください」

「おぉーー。相変わらず美人だね。俺は、その三つ編みとった方がいい女になるとおもうぜ」




 そう言いながら工藤さん達は笑う。

 ……を笑うなんて……!!

 俺が工藤さん達に突っかかろうとしたら、に止められた。




………?」

「啓太、ここはおとなしくしてた方が良いと思う」

「…………」




 横から見えるの顔は真剣そのものだった。

 俺は小さいけど、はもっと小さい。

 ……“もっと”って言うのは言い過ぎかもしれないけど、とにかく俺よりは小さい。

 なのに……なんでこんなに強く見えるんだろう。




「工藤さん、答えてください」

「……あんたらがやったんだ」

「けっこう楽しませて貰ったよ。制服も元手かかんねぇしなぁ」




 と隼人の問いに工藤さん達はまた、笑いながら答えた。

 ………勝手に隼人と竜の名前使うなんて……


 そんなことを考えてたら竜が話し出した。




「学校止めたあんたが今更何やってるんすか?」

「暇だったからちょっと遊んだだけだよ。……なぁ?」




 そう言いながら工藤さんは後ろを振り返って同意を求めてた。




「……なぁ。お前等仲間に入んねぇか?お前等2人だったら歓迎してやるよ。
 もちろんもだ。お前は女だけど、特別入れてやるぜ」




 俺はを見た。

 ……表情が読めない。が何考えてるかわかんないなんて珍しいことだった。




「あんなクソみてぇな学校にいたってつまんねぇだろ。
 なぁ?竜、お前昔から学校嫌いだったし」

「………そうでもねぇよ」




 俺を始めとした5人が竜の言葉に少なからず驚いた。

 竜がそんなこと言うなんて思ってもみなかったから……。




「別に……おもしろくねぇわけでもねぇし」

「ははっ、確かに」

「私、3Dは最初から好きだもん」




 竜、隼人、の順でそれぞれの答えを出した。




「あぁ?!折角俺がスカウトしてやってんだそ!!………返事は?」

「断る」

「なに?」

「悪ぃすけど、俺あんたらみたいなのには興味ないんで」

「…………」

「暇じゃないんすよ。………じゃね」




 隼人は何事も無かったかのように過ぎ去ろうとしてた。

 もちろん竜とも。

 俺等はそれに付いてく。




 隼人の言葉に工藤さんの一瞬動きが止まった。

 ……と思ったけど、次の工藤さんのと言葉で俺達は囲まれることになった。




「折角声かけてやってんのによぉ、偉そうに…!おい。………囲め!!」




 あっという間に囲まれた。

 ……こうしてみると、こえぇ………。

 だってナイフやらなにやら持って、こっちに向けてるし。




「………フォーメーションBで」

「B?」

「「「「了解」」」」




 私は隼人の言葉に頷いた。

 けど、竜は分かってないみたいだ。

 ………そりゃぁ、竜がいない間に決めたんだから無理もないか。




「竜……“フォーメーションB”っていうのは、簡単に言うと“逃げろ”ってこと」

「…………へぇ」




 私が小さく竜に伝えると、竜は納得したみたいに頷いてくれた。




「……せーーのっ!!」

「「「おぅ!!」」」
「はぁーーい」
「…………」




 私達はそれぞれバラバラに逃げた。

 って言っても私は逃げようとした方向には進めなかった。

 ……何故かというと、隼人が私の腕を引っ張ったから。




「え……ちょ、隼人?」

「いいからこっち来い!!」

「あ、うん。」




 いきなり腕を引っ張るのは止めて欲しいって言おうと思って隼人に声をかけたんだけど、

 声をかけたときに見た隼人の顔はちょっと真剣だったから言うのは止めておいた。


 うん。………とりあえず、今は逃げよう!!



































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あとがき

    できました………!!(何
    ……楽しんでいただけましたか?(笑



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