いつもとは違う帰り道





 なんで私の隣で隼人が歩いてるんだろう……?


 いつも私が家に帰る道。

 いつもは一人で通っている道。

 なのに今日は隣に隼人がいる。





   〜いつもとは違う帰り道〜





 結構日も暮れてきて、太陽の微妙な明るさが眩しく思えたりする。




「あのさ………」

「なに?」




 隼人に話しかけると、隼人は腕を伸ばしながら

 何事もないように返事を返してきた。




「なんでここにいるの?」

ん家に泊まるから」




 やっぱり夢じゃないらしい……。

 ……何故?!

 なんでこんなことになったわけ?!




「………俺は泊まりに行っちゃいけないっつーの?」




 隼人がその場に止まって、

 私の顔、数センチまで迫ってきて言う。

 ………顔近すぎ……!!




「別に……駄目な訳じゃないけど………」




 部屋汚いし。

 食べ物とかも、何も用意してないし。




「じゃ、いいじゃん」




 そう言って隼人はまた歩き出した。

 自分の家ではなく、私の家に向かって………。



 この時、が諦めたようにため息を付いたことを隼人は知らない。



































 着いちゃった。

 早いもんだなぁ……。

 私の家ってこんなに近かったっけ?



 は一人、自分の住んでいるアパートの前で立ちすくむ。

 その際独り言を言っているのを自分では分かっておらず、隼人が小さくため息を付いた。




「早く行くぞ」

「んーー。」




 もう諦めた。

 しょうがない。


 腹をくくって私は鍵を取り出す。

 そしていつも通り鍵を鍵穴へと通した。




    ガチャッ




 で、ここからもいつも通り。

 ドアノブに手をかけて、ひく。




    ガチャ  ガチャン




「………どした?」

「開かない」

「は?」




 隼人が不思議そうにこっちを見てる。

 不思議なのはこっちだよ!!


 だって、朝ちゃんと鍵しめたはず………




「朝出るときに鍵閉め忘れたんじゃないのー?」

「ううん。……確かに閉めた」




 記憶を何回辿ってみても

 私は絶対に家を出るときに鍵を閉めた。



 ――――その時。



 嫌な考えが頭を過ぎった。

 まさか……そんなわけ………




隼人!!

「あぁ?!……いきなり大声出すなよ」

「……ちょっとここで待ってて!!」

「はぁ?」

「いいから!!」




 私は隼人を強引に押し出して、

 もう一度鍵穴に鍵を通して一人家の中に入る。




































 ――――――バンッ



 思いっきり……ドアが壊れるんじゃないかってくらい勢いよくリビングの扉を開けた。

 私の予想が当たっていれば……


 当たって欲しくない。


 でも………




 現実は相当私に厳しかった。




「よぉ」

「……………慎」

「ドア壊れるぞ」




 顔が真っ青になったの目の前には……


 の予想通り、慎がいた。

 しかも片手に雑誌。もう一方の片手にはコーヒーと。


 随分とくつろいでいる。




なにしてんの?

「べつに。暇だったから」




 慎君?君はこの間も同じ事言ってませんでしたか??




「今日はお願いだから帰って!!」




 は両手を合わせて慎に頭を下げた。

 慎はというと、のこの行動に驚いたようで一瞬目を見開いた。




「………なんで?」

「いや……。あのね、今日は………」




 が、

 「今日は隼人が家に来る」

 そう言おうと思った瞬間だった。



















!寒いからあがるぞ!!」




 隼人の声。

 確かに寒かったのだろう。少しだが、声が震えていた。


 玄関のドアが開く音。

 廊下を歩いてくる音。


 どんどん近づいてくる。



































  ―――ガチャ




「ん?、お前なにやってんの?」

「あ。……いや?別に」




 あまりにも寒くて、

 に待ってろっつわれた場所から家ん中に入ってきちまった。


 で、廊下を真っ直ぐ歩いて

 たぶんはここにいるんだろうなぁ

 って俺の勘で目の前にあったドアを引いた。



 俺が最初に見た光景。

 何故かベランダのところの窓が開いてて。

 カーテンが揺れていた。


 は、そのカーテンの目の前で突っ立っていた。

 しかもなんか声裏返ってるし。




「おまっ?!寒いだろ?閉めろよ!!」

「あ。……ごめん!!か、換気してたんだぁ………あはは」




 が苦笑する。

 てか、こんな寒い日に換気なんかすんなよっ!!



































 ………本当は違うんだ。

 ごめんね、隼人!!



 この間……なんでかは知らないけど2人は仲が悪そうだったから会わせちゃいけない!


 私の第六感がそう叫んだから

 さっき、隼人が家に入ってくる音を聞いていそいで慎を窓から追い出した。

 慎には悪い事したなぁ……って思うけど、私の家で喧嘩されるよりはいいでしょう。


 は隼人に言われたとおり、いそいで窓を閉める。

 隼人はその様子を見ながら一つ気になっていることをに聞いた。




「……なぁ、

「ん?なに?」

「なんでこの部屋こんなにあったけぇんだよ」




 は一瞬のうちに固まり、顔が真っ青になる。

 そんなを不思議に思った隼人はに近づいてきてもう一度聞いた。




「なんでなわけ?」

「いや、……それは……」




 “今の今までこの部屋に慎がいたから”

 なんて言えるわけがない。

 ……別に言っても良いような気もするけどね。


 私が慎のことを言おうとすると、やっぱり私の第六感が止めに入る。




「い、……一日中ストーブつけてたの!!

「はぁ?!」




 あ………。

 やっぱりこれは駄目??


 隼人が、私をありえないようなものを見てるように見てくる。

 ………やっぱり……学校に行くのに、一日中ストーブつけていく人なんかいないよね……。




「なにもったいないことしてんだよっ!!」

「は??」

「電気料かかるだろ?!」




 真剣に……

 うん。すっごい真剣な顔で話す隼人。


 あれ……?

 もしかして信じちゃった……?




「これからはちゃんと電源切ってけ!」

「………あ、はい。」




 なんか……隼人………




主婦みたい




 私は慌てて口をふさいだ。

 今言ったことが聞こえてたりなんかしたら隼人は絶対怒る!!

 恐る恐る隼人の方を見ると、なんか……部屋の中を見回していた。

 よかった。聞こえてなかったみたい……



































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あとがき

    なんかちょっと短めです。(笑
    区切るタイミングがみつかりませんでした(汗
    すみませんーー!!

    楽しんでいただけたら幸いです。



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