二人の間





 俺の足は知らないうちにの家へ向かっていた。




   〜二人の間〜





 ―――バンッ




 勢いよくん家のドアを開ける。

 ……こんな時間に家の鍵が閉まってねぇってどういうことだよ


 俺がドアを開けた音に誰かが気が付いたらしい。

 誰かっつってもか隼人のうちのどっちかだけど。

 バタバタと走る音が聞こえる。


 音が止まった。


 俺の前にいたのは




「?!」

「………よぉ、

「竜っ?!………なにやってるの?」

「……………」

「と、とにかく寒いから家の中に入って!」




 はそう言いながら慌てた様子で俺の手を引っ張る。

 で、そのままリビングに俺を連れてった。




「ど、どうしたの?!何かあったとか……?」

「………いや、別に。……てか電話」

「へ?電話??」




 は見てて本当に飽きねぇ。

 すげぇ慌ててるのかと思ったら、俺が“電話”って言った途端に頭に?マークを浮かべた。

 ちょこちょこ表情が変わる。

 ………ま、そんなとこも可愛いんだけどな。




「そ、電話」

「電話……がどうかしたの?」

「………自分の携帯見てみろよ」




 俺がそう言ったらはすぐポケットから携帯をとりだした。




「着信履歴みてみろ」

「うん。………ぇ?」




 気づいたみたいだな。

 は驚いたように俺を見てくる。

 ……驚きすぎだろ




「なんで?!へ?……さっき電話くれた?」

「あぁ」

「私……出てないよ?」

「あぁ」

「………あれ?」




 なんで隼人が勝手に電話に出たことに気が付かねぇんだよ。

 しょうがねぇから教えてやる。




「隼人が出たぜ?」

「はぃ?!………な?!え?」

「落ち着け」

「………はい。」




 ちょうど俺がを落ち着かせた時。



































「あぁーー。気持ちよかったーーー」




 隼人が首にタオルを巻きながら部屋に入ってきた。

 で、私達の方を向くと一瞬止まって

 かなりでっかい声で叫んだ。




「なんで竜がここにいんだよ!!」




 ……私も知りたい。

 まぁ。とりあえず今は………




「二人とも、ご飯食べない?」

「「はぁ?!」」

「……だってお腹空いたし」

「「……………」」




 なんで二人がそんなに驚いたのか分からない。

 けど、本当に私はお腹がすいたわけで……

 一人もう一度キッチンに戻ってさっきまで作ってたスパゲティの準備をしだした。 



































 俺等はがキッチンに向かったことを確認して、

 には聞こえないように小さい声で話したてた。




「なんで竜がここにいんだよ」

「……こっちの台詞だ」




 今さっきが出してくれたコーヒーを片手に、

 竜が涼しげに答えてきた。




「………てか普通の携帯に隼人が出たら誰だって駆けつけるだろ」

「あ………」

「あほ」

「な?!てめぇ………!!」




 まじで竜を殴ろうかと思った。

 けど、ここはん家だったから

 そんなことしたら一発で家から出される。




「てか、隼人こそなんでん家にいんだよ」

「………お前から聞いたか?」

「なにを?」

「この間、ん家に泊まった男がいただろ?」

「……あぁ」

「それが、あの“慎”って奴だったんだよ」




 俺がそう教えてやったら、

 珍しいことにあの竜が目を見開いて驚いてた。




「………まじでかよ」

「おぉ。まじらしいぜ」

「……で?それと何の関係があんだよ」

「俺、その慎って奴に負ける気ねぇもんよ」

「はっ……そういう事か」

「てことで!竜は帰ってくんね?俺はと二人っきりになるために泊まりに来たんだから」




 隼人がブイサインしながら竜を見る。

 ……すると、竜はさも当たり前のように




「じゃ、俺も泊まるし」

「はぁ?!」




 隼人が大声で驚きを表す。

 隣に座っている竜はコーヒーを飲みながら立ち上がり、の方へ向かう。




「じゃ、そういうことだから」

「は?なんの話??」




 いきなり“そういうことだから”と言われても

 当然には意味が分からない。


 最後の盛りつけをしていたは頭だけ上を向くように竜を見上げる。

 そんなを見ながら竜は短く言った。




「俺も泊まってく」

「……へ?!」

「コーヒーサンキュ」

「え、あぁ……どういたしまして………」




 竜はの頭を軽く撫でていくと、

 またリビングのテーブルの方へ向かった。




「布団……足りるかなぁ」




 の呟いた言葉は誰にも届いていなかった。



































「はいっ!!どーぞ!!」

「おぉーー!うまそーー」

「………へぇ、結構じゃん」




 私がお皿を二人に渡すと、

 二人は自分なりの返事?を返してくれた。


 うわぁ〜。なんかちょっと緊張する……。

 お菓子とかはよく作って食べて貰ったりしたけど、流石にご飯は作ってあげたことがない。


 ……どうなんだろう?



 は自分がお腹が空いているということを忘れ、

 竜と隼人がスパゲティを口に運ぶのをを心配そうに見ていた。




「どう……かなぁ………?」

「……うっ」

「うっ?!」

うっめぇーーー!!!

「………うまい」




 隼人が立ち上がってガッツポーズをとる。

 竜は何故か少し恥ずかしそうに呟いていた。


 はというと、かなり驚いたようで、目を丸くしていた。

 だが、すぐ我に返り満面の笑顔で言う。




「そ、そう?……ならよかった!!じゃ、わたしも食べよーっと」

「俺等は毒味か?」

「え?隼人?!……そ、そういうわけじゃないよ!!」

「……ふーん」

「本当に違うからね!!」




 が必死になって言ってるから、

 面白くてからかいたくなる。


 隣で竜は呆れてたけど……。



 てか……まじでうめぇ。




「どうするよ?これ」

「いや、どうもしねぇし」




 いきなり、竜が言った一言にすげぇ驚いた。

 “こいつ人の心ん中読めるのかよ…”って


 自分では口に出したつもりはなかったけど出してたらしい……。

 のがうつったか……?



































 飯も食って。

 これからが問題だ。

 俺がに気付かれないように竜に向かって口パクで“帰れ”って言ったら

 竜の奴……簡単にスルーしやがった。




「隼人ーー、竜ーー。どこに布団しくー?」

「どこでも」

「あぁ」

「“どこでも”って……一番困るよ」




 が布団の準備をし始めた。

 つか、どこにしくなんて聞かれてもな……別にどこでも………




 あ!!




ー!俺、布団いらねぇわ」

「は?」

と寝るわ」

「隼人、てめぇ」

「はっ……ざまぁみやがれ」

「………ちっ」




 布団いらねぇって言ったら、

 は目を丸くして竜は俺の胸倉を掴んできた。


 早い者勝ちだろ?




「いやいやいや、何を言ってるの?隼人サン?」


 隼人……

 慎と同じ事言わないでよ……

 ……二人とも似たような性格なのかなぁ??


 って今はそれどころじゃないし!!




「無理!!」

「〜〜〜〜〜♪」

「いや、何鼻歌歌ってるのよ。
 ……って、え?…竜も何やってるの?」




 隼人が鼻歌を歌いながら私のベットに近づいてったと思ったら、

 竜まで近づいてるし……。




「竜、てめぇは下で寝ろ」

「隼人の隣にを置いたら危ねぇだろ」

「いや、二人で話を進めるのはやめようよ」




 …………二人とも私の話を少しも聞いてない。

 ギャーギャーと喧嘩してるし。


 ……こう考えてみると、

 竜があんなに怒って所を見るの久しぶりかなぁー。














 そんな事を考えながら、

 たぶん……30分くらいは時間が経ってると思う。

 そろそろ眠いんですけど……

 二人ともーー、明日遅刻しますよーーー


 ちょうど私が欠伸をしたとき、

 二人が一緒のタイミングでこっちを振り返ってきた。

 ……息合ってるねぇ




「決めた!!」

「…………」

「なにを?」

「不本意だが、俺等の間に来いっ!」

「……いや、意味分かんないし」

「そのままの意味だろ」




 竜に突っ込まれた。

 “そのままの意味”って言われてもねぇ……

 隼人はもう布団の中入ってるし?


 まぁ、……みんなで寝た方が暖かいかなぁ??

 ……眠くてもうどうでもよくなってきてるし?




「……いいよーー」

「「まじで?!」」

「なんで驚くの?」




 そっちから言ってきたのに二人はかなり驚いてた。

 ……なんなのよ。




「ねーむーいーー」

「あぁーー、わかったわかった。こっちこい」




 隼人が手招きしてる。

 眠くて焦点が定まらなくなってきた私でも、

 急に視界がおかしくなったことが分かる。




「???」

「……………」




 見上げてみると、竜の整った顔。

 ……綺麗な顔だなぁ


 そんな事を考えてたときから意識はない。



































「おい」

「………なに?」




 俺はもうすっかり熟睡してるを、

 俺と竜の間寝かして寝ようと思ってるんだけど、

 どうも気にくわないところが一つあった。




「なんで竜がを抱き上げてここに持ってきたんだよ」

「倒れそうだったじゃん、




 確かに……。

 俺が手招きしたときはもう“ふらふら”してたな。




「だからって!!」

「声でけぇよ。が起きんだろ」

「…………」




 竜の奴……

 余裕の顔しやがって……!!




「お前には負けねぇ」

「俺は誰にも負ける気ねぇし」

「……竜、お前いちいちむかつくな」

「お互い様だろ?」

「…………ちっ」




 そんなこんなで俺達の波乱の夜は過ぎていった。



 まぁ。この後は俺も竜も隣で寝てるを見て落ち着けなくて、

 全く寝れなかったっつーのはまた違う話だ。
































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あとがき

    オリジナル終了っ!
    おめでとう御座いますーーー!!(?
    隼人と竜の間で寝れるヒロインが羨ましいです……(ォイ



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