下心のある贈り物





 最近、みんなの様子がおかしい……。

 なんか………いつもより優しい気が………??




   〜下心のある贈り物〜




ーー!これやるよっ」




 2月10日

 時間はお昼頃。

 いつもは一緒にご飯を食べるのに、今日は一人だった。

 “一緒にご飯食べよ!”って言ったんだけどみんな上の空っぽくて

 動こうとしなかったから一人で屋上に来てしまった。




 そこに来たのは浩介。一緒にご飯食べるのかと思ったんだけど違うらしい……。


 浩介が私に差し出したのはパン。

 しかもあり得ないような数………




「…へ?……なんで?」

「まぁ、気にするなって!!な?」

「あ、うん。……ありがと」

「いいってことよ!!」




 とりあえず貰っておこう。

 うん。ちょうどお腹も空いてたし


 ………でもこれはちょっと多すぎじゃないですか??


 そんな事を考えている内に浩介は屋上から姿を消してました。

 ……なんで??




































!」

「はひ?ふっひー?」




 今さっき浩介からもらったパンを食べていたら

 つっちーに上から話しかけられた。

 上からと言っても身長差から言って自然にそうなってしまうんだけど……。




「デザートとか欲しくね??」

「………うん。」




 そりゃぁ、あったらいいけどねぇ。

 ……買ってきてないし。




「だろ?ほれ!やるよ」




 そう言いながらつっちーは一つの大きい箱をどこからか取り出して、

 私の方に突き出す。




「これなに?」

「あのー。あれだよ、この間が食いてーっつってたケーキ」

「えぇ?!あの今すっごい人気の?!」

「そ。」

「なんでなんでなんでーー??」

「落とさねーよーにちゃんと持て」

「あ、はい」




 つっちーの持っている箱を受け取った。




「ねぇねぇ!見てみても良い?」

「おぅ!!」

「うわぁ〜〜〜〜〜!!!」




 中にはもの凄い美味しそうなケーキが、これもまた沢山入っていた。

 すっごい嬉しい!!


 ……けどなんで??

 しかも多すぎだし、つっちーもどっか行っちゃったし………。




































 次におかしな行動をしていたのが啓太。




ーーー?」

「ん?なにー?」

「あ、なんか凄いね……」



 啓太がの周りにあったものを見て呟いた。

 は苦笑しながら答える。




「あははー。なんか凄い……よねぇ?
 これ、浩介とつっちーから貰ったんだけど……なんでかなぁ?」

「へ?もしかして分かってない?」

「なにが?……それよりこれ一緒に食べよ?この量は結構キツいんだよね……」

「あ、うん。いいけどさ……」




 いつも以上に啓太がそわそわしていた。

 どうしたんだろう?




「啓太?どうしたの?」

「あぁああぁえ?!」

「ほわっ!び、吃驚した!……なに?」

「あ、あのさ……!!これあげる!!」




 啓太が勢いよく差し出したのは、

 林檎くらいの大きさの可愛い袋。




「へ?」

「じゃ!!」




 啓太は走って屋上からどこかへ消えた。

 みんなどうしたんだろう?



 そんな事を考えながらも貰った袋を開けてみる……

 中に入っていたのは


 飴


 うん。いろんな種類の飴。

 赤とか青とか白とか……

 ……おいしそうだけど!



 だから何でなの??




































 みんなの様子が絶対に可笑しい。

 啓太の次におかしな行動をとったのは隼人だった。




「………よ」

「ん?隼人??」




 一人淋しく昼食をとっている。

 ……この光景を見たら普通驚くよなぁって思う。

 だって一人の女の子の周りには山盛りと言っていいほどの数のパン。

 と大きいケーキの箱。

 と飴の入った林檎サイズの袋。



 そう。

 普通は驚くはず……

 なんだけど、隼人は驚くどころか

 普通に私の隣に座ってその辺にあったパンを食べ始めた。




「これ、日向から?」

「うん。よくわかったね!」

「さっきすげぇ量のパン抱えてるとこ見たしな」

「?そうなの?」

「あぁ。これつっちーからだろ?んでこれはタケ……か」




 ケーキの箱と飴の入った袋を指差しながら隼人は言った。

 ……これまた正解




「うん。そうだけど、どうかした?
 てかもっと食べて!!この量を一人で食べるのは無理だから!!」

「あぁー。俺も無理」

「えぇーー?!なんでー?」

「俺はこれ渡しに来ただけだしーー」

「は?」




 隼人は、今度は私の前に来てニコニコ笑顔で手を出してきた。




「ほら!手ぇだせって!!」

「あ、うん?」




 シャランと音を立てて

 隼人の手の中から私の手のひらの上に何かが落ちてきた。


 どう見てもネックレスだ。

 しかもこの間“これ欲しいなぁ”とか思ってたやつ。




「…………?」

にやるよ」

「……なんで?」

「なんでもーー」




 本っ当に意味が分からない。


 ……私、誕生日だっけ?

 ううん。違う。


 ……記念日?

 なんのだよ。



 駄目だ!

 一人で考えようとするとただでさえ多いのに、独り言がまた増える!!




 みんなの様子が可笑しい理由を、

 隼人に聞こうと思って後ろを振り向いたら……



 隼人はもう、そこにはいなかった………。



































 ………まじでわからない。

 みんなが可笑しい理由。




あぁ!もう!!

「………うるせぇ」

「?!……竜?!いつから……?」

「……いま」

「あ、ソウデスカ………」




 意味が分からなくて叫んだ。

 そりゃぁもうかなり大きい声で……。


 すると、いま来たばっからしい竜が横にいて、

 怒られてしまった。

 竜は何も言わず、私の隣に座る。




 も流石にパンには飽きてきて、今度はケーキを食べ出した。

 自然に表情が和らいでいく。




「幸せっ!!」

「………………」

「竜も食べる??」

「……いい」

「それは“いる”の方のいいなのか“いらない”の方のいいのどっち?」

「いらねぇ」

「そんな即答しなくてもいいじゃん!!………むぅ」




 竜は食べないらしい。

 おいしいのに!!




、手ぇだせ」

「へ?なんで?」

「…………」




 竜の無言ってなんか怖い。

 なんでかわかんないけど怖い。



 ということで私は手を差し出す。


 “……なんか竜と隼人の行動パターンって似てる”


 なんて思ったことは内緒にしておこうと思った。




 シャラッ

 という音と共に私の手首にあったのはピンクのかわいいブレスレット。




「………じゃぁな」

「え?!いやいや!“じゃぁな”じゃないでしょ!!え?なんで??」

「別に」

「別に……って………」




 竜も屋上から消える。





 ………みんな頭でも打った??



































 その頃、3D教室では………




「やっぱ俺のあげたパンが一番良くね??」

「あぁーー。無理」

「つっちー、なんだよその言い方!」

「普通パンは無理だろ。俺なんかケーキだぜ?ケーキ!」




 扇子で扇ぎながら喋る土屋に、

 武田の冷たい一言が突き刺さった。




「あんまかわんねぇじゃん」

「タケは馬鹿だなー。あれは普通のケーキじゃないんだぜ!!
 二時間も並んで買った今超人気のケーキなんだからよ!!」

「おぉーー。おつかれさん」

「タケ、お前心こもってない。」

「え?悪ぃ。」

「でもよぉ、タケの“飴”っつーのも良いよなぁ。……パンよりは」

「な?!パンの何処が悪ぃっつーんだよ!!」




 土屋と武田、そして日向の言い争いを

 見ていた隼人が遂にしゃべり出した。




「はっ!お前等レベルが低いんだよ」

「「「はぁ?!」」」

「俺はまぁ、のほしがってたネックレスをやったんだぜ?」

「うわっ!なんだよ!!それ」

「反則だろー」

「そうだそうだ!!」




 自信満々に言う隼人に非難の声があがっていた。

 上から土屋、日向、武田。


 武田は思いだしたように小田切の方を向いた。




「そういえばさ、竜はに何やったの??」

「………別に」




 竜のその答えに隼人が興味津々と言った様子で身を乗り出した。




「へぇ、やったんだ」

「……………」




 次は土屋と日向がふざけたように言う。




「あら、竜ちゃんがプレゼント?以外ーー」

「ねー。あたしも吃驚しちゃったわぁ」

「……………」




 もはや、この二人は漫才コンビと言っていいだろう。

 クラスの仲間も二人のやり取りを見て大笑いをしていた。

 小田切はその様子を呆れたように見ているだけであった。




































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あとがき

    やっと完成!!
    悩んだ挙げ句オリジナルに挑戦!!

    これから慎とか元白金メンバーも出さなきゃ……!笑
    てかヒロインちゃん女の子の一大行事忘れちゃってる!!笑



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