久しぶりの訪問





 扉を開けて大きく挨拶すると、

 奥の方からバタバタと騒がしい音が聞こえてきた。





   〜久しぶりの訪問〜





「こんにちわっ」




 が扉を開けて一歩入ると、そこには2人の男の姿。




「よく来てくれた!!いやぁ。もう2年ぶりくらいか?もべっぴんになっちまって………」

「………なんか“綺麗になっちゃいけなかった”って言われてるみたいで微妙な気持ちですよ」




 真っ先に声を掛けてくれたのは

 ずずっと軽く鼻をすすった、顔は怖いがとても優しい


 若松弘三さん




「いやぁー。本当にべっぴんさんになっちまったんだなぁー」

「や、だからそれは微妙な気持ちになりますって……」




 若松さんと同じ事を言いながら私の方をまじまじ見たのは

 菅原誠さん










 2年前、私が結構お世話になった皆さん。

 みんなすっごく優しくて楽しい人達ばかりだ。




 その場で立ち話していたら奥からヤンクミのおじいちゃんである

 黒田龍一郎さんが顔を出した。




「あっ!!おじいちゃん!」

「よっ、久しぶりだなぁ。元気にしてたか?」

「うんっ!!」




 私は黒田龍一郎さんの事を“おじいちゃん”と呼んでいる。





 私の本当のおじいさんである理事長の事は“おじいちゃん”と呼びたくなかった。

 おじいちゃんらしい事なんて何もしてくれなかったから………。





 でも、黒田龍一郎さんは2年前すっごくお世話になった時に

 なんとなく自分が本当に黒田龍一郎さんの孫になった様な気になって、

 間違えて“おじいちゃん”と呼んでしまった時からそう呼んでいる。




「まぁ、立ち話もなんだろ。中に入りなさい。」

「あ、うんっ!!お邪魔しま〜〜す」




 私は元気にそう返事してヤンクミの家、【大江戸一家】へと足を運ばせた。



































「ねぇ、ヤンクミって今日何の用事があるの?……しかもてつさんとミノルさんいないみたいだし」




 家にお邪魔して、

 ヤンクミに、ほほほのほの字のてつさんと、

 ミノルさんが居ないことに気が付いた私。




 若松さんが入れてくれたお茶を飲みながら私がそう聞くと

 若松さんと菅原さんはおどおどしながらも答えてくれた、




「や、それがっすねぇ」

「うん?」

「お嬢はなんか…………」




 冷や汗をかきながらも説明してくれる若松さん。

 目が泳ぎまくってますけど?




「なんか?」

「それが…………」

「それが?」

「………く、九条って奴と…………飲みに行くって……………」

「“九条”?」

「…………へい」




 九条って誰?

 というか……私の進路についての話は、その“九条”って人より大事じゃないって事だよね?!





 …………ヤンクミの馬鹿




「なによー………」

どうかしたのか?」

「若松っちー………」




 ちょっとショックで若松さんに抱きついてみた。

 すると、3人は勢いよく私達の方を見てきた。




「「「若松っち?!」」」

「へ?……あ、今考えただけだよ」




 “若松っち”と呼んだことに驚いたらしい。



 私は、“今考えただけだから気にすること無いよー”

 って言ったら3人は苦笑しながら“………そ、そうか”って言った。


 その時のみんなの表情は今までになく面白かった。

 そんな中、おじいちゃんは笑いながら私に言った。




、おめぇそろそろ風呂入ってきたらどうだ?」

「え、いいんですか………?」

「あぁ」

「だって……おじいちゃんとかもまだなんじゃ……………」

「気にするこたぁはねぇさ」




 “入ってこい”


 そう言われて私は素直に頷いた。



































「はぁー………。きもちいーー!!てかお風呂広いーー!!」




 流石は大江戸一家。

 とちょっと意味の分からないことを呟いてみたりする。



 頭に小さくたたんだ手ぬぐいをのせて、ちょっと温泉に来た気分でゆっくりお風呂につかる。




「うーん。。進路………どうしよう」




 返事がないことを承知でため息を付きながら呟いた。




「…………慎に相談してみよっかな」




 うっちーとか野田でもいいけど。

 とみんなの顔を浮かべながら一人で小さく笑った。



 端から見れば怪しいと思うけど、今はお風呂の中だし

 誰も入っては来ない。




「んんーー、のぼせそうだぁ。…………もうそろそろ出よっと」




 このままではゆでタコになってしまう。

 そう思って私はお風呂から出ることにした。



































「…………って着替え持ってくるの忘れた」




 は大きなバスタオルを体に巻き付けてそう呟いた。






 馬鹿だ

 着替えが入っている荷物を玄関に置いたままここへ来たことを忘れていた。



 さて、どうしよう。


 持ってきて貰おうかなぁ………ってそれもなんか悪いよね。

 自分で取りに………って恥ずかしいよね。




「ま、誰も気づかないでしょ。いつもより3人少ないんだし」




 自分で取りに行っちゃえ!!

 見つかっちゃったりなんかしたらもの凄い恥ずかしいけど……

 でも!みんなに気付かれないようにコソコソ取りに行けば大丈夫よ!

 てつさんとミノルさんとヤンクミという3人が居ない今なら、なんとかすれば気付かれずに取ってこれる!

 ……………きっと!!



































=====================================
あとがき

    ヤンクミの家のお風呂って大きそうだと思いませんか……?笑



足跡代わりに押してやって下さい♪ ついでに一言頂けると嬉しいです!
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送