問題児、学校に現る





“いまから、あいつ等とカタつけてくっから”




「………?」




 携帯を開いてメールを見てみると

 そこには竜からのメール。





   〜問題児、学校に現る〜





「カタ……?」




 ディスプレイを見ながら首を傾げる




「カタ……型……肩……片……?………竜は“片づける”って送りたかったのかなぁ?」




 でも何を片づけるんだろう…?

 ………部屋?

 でも、そんな事私に報告されてもなぁ…。




「あいつ等………って、あ!!」




 バイトの人達のことだ!!

 カタつけてくるって事はやっぱり……




「…もう!!私は平和主義者なのにーーーー!!!」




 は一人で大声を上げ、竜のバイト場所へ向かった。



































 そこにいたのは竜ではなかった。




「ヤン…クミ……?」

?!なんでお前がここに?!」

「そんなことより竜は?」




 裏口付近にいたのはヤンクミと熊。

 “めずらしい組み合わせだ”と思ってたけど、今はそんな事はどうでもいい。




「熊!!竜は……?」

「それが……どっかに連れられて」




 その時。

 裏口からめっちゃくちゃ人相の悪い男が出てきた。


 ヤンクミは、その男の人に竜の居場所を聞いた。

 でも、返ってきた返事は知らないの一言。




  ドンッ―――




 ヤンクミが男の人を押さえ込む。




「どこにいるって聞いてんだよ!!」



































 ヤンクミに押さえ込まれた男の人は竜の居場所を吐いた。

 私達3人は急いでそこへ向かう。


 途中で熊がいなくなっちゃってたけど………







 ガシャン――――ガシャ――

     ガコッ―――




 ヤンクミが倉庫の扉を開ける。

 鍵がしてあるのに………ヤンクミ凄すぎ……



 扉が開いてそこに見えたのは傷だらけの竜の姿。

 見ていてこっちが痛くなってきた。




「なんだ…この間のセンコーじゃねぇか」




 “はははっ”と笑う奴等。

 そいつらはこっちにゆっくり近づいてくる。




「……もう充分だろ、勘弁してやってくれねぇか…?この通りだ」




 ヤンクミはあいつ等に頭を下げた。

 ヤンクミが頭を下げる理由なんて無いのに……

 悪い事してるのはあいつ等の方なのに……




 あいつ等は、

 “センコーが頭下げてるよおもしろいなコイツ”

 そんなことを言いながら笑っている。




「あいつは私の大事な生徒なんだ……まだ十八で一端の大人ぶってるけど、
 なんにもわかっちゃいねぇ。こいつはガキ同然なんだ……。
 私はまだまだあいつに教えなきゃいけないことが沢山ある。
 ……だから返してくれないか?………頼む」




 そう言ってまたヤンクミは頭を下げる。

 でも、それでもあいつ等は“そんなこと言われてもねぇ”なんて事を言っている。

 しかもヤンクミにお金を稼いでこいとまで言ってる。



 その時、一人の男の人がヤンクミの肩に触れる。

 ヤンクミはその手を払った。

 しかも他の男の人を殴ったというおまけ付き。



 あ……もしや、ヤンクミがキレた……?




「お前……何者なんだ………?」

「……言ったろ?あたしはこいつの先生だよ。
 これだけ言っても駄目なら……しょうがないね」

「ヤンクミ……私も……」

、お前は小田切の所へ行け。……んで、傷の手当てでもしてやれ」




 私はヤンクミの返答に頷き、倉庫の端の辺を通って竜の所まで走る。

 あいつ等はこっちに見向きもしなかった。

 きっとヤンクミの事しか見ていなかったんだと思う。



 まぁ、いきなり先生が来て、なめて突っかかったら殴られたんだもん。

 私に気づかなくて当たり前か……。

 でも、私は一応小声で竜に話しかけた。




「竜……」

「なんでお前が来んだよ……」

「……メール見て、心配で………」




 最初はあのメールの意味が分からなかったなんて口が裂けても言えない……。



 とりあえず私は竜を上半身だけ起こして血の出てるところをハンカチで拭いた。


 その時、竜はあいつ等を次々と倒しているヤンクミの方を見ていた。



 相変わらず強いなぁ……ヤンクミは……

 しかも綺麗だし。……ってこれは関係ないかなぁ?



 そんな事を考えているとき、竜を支えていた私の手が急に重くなった。

 吃驚して横を見てみると竜は気を失っていた。



































「なんで来たんだよ……俺はあんたを騙したんだぞ!!」




 川原で竜は言う。

 さっきまで気を失ってたのに元気だなぁーー。




「竜……ヤンクミは竜のことが心配で」

「約束したから……」




 私が竜に言おうとしていた言葉はヤンクミによって遮られる。


 じゃぁ、私は黙ってようっと……




「約束?」

「あぁ。何があってもお前を守るって約束したから……」

「馬鹿じゃねぇのか?」

「約束っていうのは守るためにあんだよ。それに……教師が生徒を信じて何が悪い?」

「笑わせんなよ」

「笑いたきゃ笑えよ」

「……俺はセンコーなんて信じねぇ……誰も信じねぇ」




 そういって竜は帰っていった。

 私は竜に、声が届くうちに言わなきゃいけないと思った。




「あ、竜……明日、学校来てね!!絶対に!!」




 竜は振り向いてくれなかった。

 でもなんとなくわかった……。

 竜は絶対に明日、学校に来てくれるって――――



 そんな時、ヤンクミが呟いていた。

 “私は小田切を信じるよ……お前にはあたしの思いが通じるって……”




「そうだね!!」

「え?…、お前聞いてたのか?」

「うん!……大丈夫だよ!!ヤンクミの気持ちは絶対にみんなに伝わるから!!」

「………だといいな」




 そう言ってヤンクミは笑っていた。



































 今日はいつもと変わらずに学校へ向かった。

 一つ、いつもと違うことと言えば………


 私が今教室にいないということ。


 本当なら今は教室にいなきゃいけない時間。

 でも、待ち遠しかった。



 今日、竜が学校に来てくれるって思うと、

 嬉しくて………私は校門の所で待ってることにした。

 竜は「明日学校に行く」なんて一言も言ってないけど、絶対に来る。そう信じてるし!!




「あ!!」




 やっぱり来てくれた!




「竜!!おはよう!!」




 ちょっと改造した学ランを着て、竜は歩いていた。

 私が校門の所で大きく手を振ると、竜は呆れた顔をしてこっちを見ていた。




「……なんでこんなことにいんだよ」

「えへへっ」

「笑い事じゃねぇっつーの」

「だってさぁ………。
 ま、いいじゃん!早く教室いこ!!私も啓太も竜が来るの待ってたんだから」




 そう言いながら私は竜の手を取ってひっぱる。

 竜は“何がそんなに嬉しいんだよ”とか呟いていた。



 嬉しいに決まってるじゃん!!

 これでやっと本当の3−Dになったんだから!!



 校門から少し歩いたところで教頭達、先生チームが姿を現す。

 “なんで来ているんだー”とか“どうして来たんだ”とかなんとか叫んでいたけどそんな事気にしない。

 私は竜を連れて堂々と進んでいく。





 その時、タイミングよく3−Dみんなが教室から出てきた。

 ……みんな………もしかして…全員でサボる気だったの……?




「竜………」




 啓太は小さく呟く。

 みんなは竜が学校に来たことにやっぱり驚いていた。












 竜はヤンクミの前で止まった。

 手を引っ張っていた私も、竜が止まったことによって強制的に止まってしまう。




「おはよう、小田切。……来てくれたんだね」

「……はぁ……別にあんたの為に来た訳じゃねぇよ」




 そう言ってすぐに竜は歩き出した。

 今度は私が竜に引っ張られながら歩く。


 なんか……竜の歩幅が大きいから歩きづらいんですけど………。



 そんな事を考えていたら、また竜が立ち止まった。

 急に止まった為、私は竜の背中にぶつかった。




「ちょ、竜!急に止まると危な………」




 言葉に詰まった。

 だって……目の前には睨み合う竜と隼人。



 “このまま此処にいるととばっちりをうけるっ!!”



 そう思ったはすぐさま今いた場所から遠ざかる。





「久しぶり……今更なに?俺さ、お前のこと許してないから……!!」


 そう言って隼人は竜に殴りかかった。

 ―――そのまま2人は殴り合いになった。


 そんな時、3−Dの周りだけに雨。

 いや、バケツに入っている水をヤンクミがかけたのだ。




「いいかげんにしやがれーー!!」




 よかったぁ……私、非難しておいて…




「なにすんだよっ!!!」




 当たり前のことだけど、隼人はかなり怒っていた。




「よーーーし!!
 これで全員揃ったな!!お前等、よーく聞け
 あたしはおまえ等をこのまま卒業なんかさせねぇからな!!
 高校生活の思い出が何一つねぇ、将来の夢もねぇ、そんなハンパなまんまで卒業させてたまるかってんだ!!
 たった一度の高校生活がこれからのお前達の長い人生で……
 どれだけ貴重で、どれだけ大切なのかあたしがしっかりおしえてやるからな!!覚悟しろよーー!!」




 そう言ったヤンクミの目は、何かを固く決意した目だった。











 その後、びしょぬれになっているみんなを見て、

 がクスクス笑っていたことに気づいた者はいなかった。



































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あとがき

    5話目ですね……。(何
    楽しんでいただけたでしょうか?
    次回からはドラマ2話に突入!!



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