仲直り





 みんな……その怪我…どうしたの?

 また喧嘩したの……?





   〜仲直り〜





 ……困った事になった。

 仲間が怪我させられたことによって3D全員が怒っちゃった。




「ねぇ……みんな!!仕返しとかやめようよ!!」

「じゃぁはこのままこいつ等の仕返ししなくてもいいのかよ!!」




 私が叫ぶとつっちーは叫び返してきた。

 いつもとは違うつっちー。


 かなり怒ってるみたい……




「でもさ……仕返ししたらまた仕返しされて………そんな事ばっかり繰り返すの?!」




 みんなには聞こえていなかった。

 しかもどこからかバットやら何やら用意までして……

 今すぐにでも殴り込みに行く気らしい。



 そんな時、教頭が入ってきた。




「こらーーーー!!お前等!黙れ」




 ま、教頭の言葉じゃぁ……絶対みんなを止められない。

 今のみんなは、私にも止められないんだもん。

 ……みんなは優しくて……仲間の事になると周りが見えなくなる


 ヤンクミが来てくれるといいんだけど……




「おはよっ……」




 私が考えていたとき、ちょうどヤンクミが教室に入ってきた。

 ヤンクミは驚いて状況がつかめないらしく、ドアの前で立ち止まっていた。




「あ、ヤンクミ!!」

「お、おお、……これは何の騒ぎなんだ?!」

「それが………」




 今の状況を伝える為、私はヤンクミの元へ行く。




「今度こそよぉ!ケリつけてやんだよ!!」




 浩介が叫んでいた。

 ふと横を見ると、竜がいた。

 今、来たばっかみたい………。

 竜も驚いているようだった。




「殴り込みだぁぁぁーーーーー!!!」




 誰かわかんなかったけど、

 クラスの誰かが言ったその一言で教頭達が反応した。




「殴り込みだぁ?!お前等わかってるのか?!」

「そんなことしたら退学だ!!退学!!」




 教頭の一言に一番反応したのは啓太だった。

 それに対してつっちーは全く別の反応をした。




「退学だぁ?!……上等じゃねぇかよ!!」




 退学……。

 …私は嫌だよ

 私は3Dみんなで卒業したいよ……。




「お前達がなぁ……補導されようが何だろうが別にどうだっていいんだ!
 だがなぁ………その時は退学になるということだけは肝に命じとくんだな!!」




 そう言いながら教頭は教室を出ていった。




「おい、お前等!とにかく落ち着け……!!」

「隼人が来たらすぐ殴り込みに行っからな!!」




 ヤンクミの言葉も聞かず、

 つっちーの言った言葉を合図にクラス全員が雄叫びをおげた。




「そんな事して何になるってんだよ!!!」




 いままで何も言わなかった竜が叫んだ。

 その言葉によってクラスのざわめきは消えた。




「竜……」

「けじめつけなきゃなんねぇだろ?」

「いつまでやりあっててもしょうがねぇからな」

「今度は前みたいに勝手に頭下げたりしないでくれよ!!」




 みんなは知らないからそんな事が平気に言えるんだ……!!
 竜や啓太の気持ちを知らないから……




「みんなの馬鹿っ!!」

「「「?!」」」




 思わず言葉が自然に出てきてしまった。

 私が言ったことにみんなは驚いてこっちを見ている。




「みんなは……なんにも知らないから……!!」

「……??……どういうことだ」




 ヤンクミはの方へ歩み寄る。

 するとは我に返ったようになり、

 「あ、なんでもない……ごめん」

 そう一言言って何も言わなくなった。


 すると、またつっちーと日向は竜に

 “喧嘩が長引いてるのは竜のせいだ”と言い出した。




「………違うんだ!!

「タケ!」

「…違うんだ……竜は悪くねぇんだ……」




 啓太が立ち上がって言った。

 するとヤンクミがまた口を開いた。




も……武田も……どういう意味だ?」

「俺、あの時……荒高とやり合うことになった時、
 だんだん恐くなって……すげぇ逃げたくなって……だけど俺、隼人と竜みたいに喧嘩強くねぇし。

 ……それで退学になんてなったらどうしようって思って、
 ………前は退学なんて恐くなかった。けどさ、俺達もうすぐ卒業だろ?!
 俺が卒業するなんてさ……おふくろも思ってもなかったみたいでさ……なんか、すげぇ喜んでて、
 だから……おふくろにはがっかりして欲しくなくて……なんか格好悪ぃんだけどさ。そんな事思って……

 だから、竜とに相談したら“俺に任せろ”って……

 竜は俺のために……立った一人で荒高の奴等に頭下げてくれたんだよっ!!
 竜は裏切り者なんかじゃない!!竜……ごめん。本当にごめん!!」




 そう言って啓太は頭を下げた。

 竜は“あやまんなよ”って言いながら立っていた。




 啓太は凄い。

 こんなこと……少しの勇気じゃ言い出せないと思う。


 私は啓太を見習わなければいけないと思った。




「……じゃぁ、どうすりゃいいんだよ」

「今のまんまじゃ、荒高と俺等のいざこざは終わらねぇし……」




 周りから“はぁ”とため息の音が聞こえてくる。


 そういえば、隼人がまだ来ない………

 “めずらしい事もあるんだなぁ”

 その時私はそう思っただけだった。


 もっと早く気づけばよかったのに






「矢吹は、まだなのか………?」




 ヤンクミが言った。

 その時。


「おいおいおいっ!隼人の鞄ここにあんだけど……」

「は?」




 言われた方につっちーと啓太と啓介と私は向かう。

 そこには確かに“HAYATO”と書かれた鞄があった。




「あいつ……もしかしたら………」




 ヤンクミが呟く。

 と思ったらいつの間にか階段の所まで来ていた。

 つっちーが“どこ行くんだよ!!”って聞いたらヤンクミは……




「決まってるだろっ!!」




 そう言って階段を駆け上がっていく。
 私達は顔を見合わせた。



 “決まってるだろ”


 そうやって言ったって事は……




「私達も行こう!!」

「お、おう!!」




 私達はヤンクミと一緒に学校を出た。



































 倉庫みたいな所に入ってすぐ見えたのは……

 ボロボロになった隼人と竜。




「隼人……竜………」




 なんで?

 なんで2人はいつも1人でどうにかしようとするの?


 あの時、啓太が私と竜に相談したときだって……

 あの時だって竜が1人で荒高の奴等の所にいっちゃった……

 もっとみんなを頼っていいと思うのに……




「「「隼人っ!!竜!」」」




 みんなが2人の所に向かおうとしたとき、ヤンクミが止めた。




「お前等は此処にいろ」

「なんでだよ?!」

「……あいつ等の気持ち、無駄にする気か」




 そう言ってヤンクミは進んでいく。

 髪ゴムを取って、眼鏡を外しながら。


 ヤンクミは次々と荒高の奴等を倒していった。

 その姿を見てつっちー、浩介、啓太は目を丸くする。


 そりゃぁ、まぁ……先生が喧嘩に強いとは思っていなかったんだろうな。


 その後は、ヤンクミによって荒高の奴等は帰っていった。



































「一人で乗り込むなんて……無茶すんじゃねぇよ」

「そうだよ、隼人……」




 隼人と竜の2人をつっちー、浩介、啓太の3人が川原に運んだ。

 2人を見ると傷がすっごい痛そうだった。




「しょうがねぇだろ……いいかげんけじめつけなきゃ、いつまでたっても終わらねぇし
 ……俺は3Dの頭だから、俺がやるしかねぇだろ……
 これが俺のやり方だよ……俺には…これしか出来なかった」




 隼人……


 あの時のヤンクミの言葉、覚えてるんだね……



 ヤンクミは隼人の前にしゃがみ込んで言った。




「矢吹、それでいいんだ……。今日のお前は間違ってないよ」




 普通の先生だったらこんなこと、絶対に言わない。


 だからこそヤンクミは他の先生とは違う。だからこそ、私はヤンクミを信用してるんだと思う。




「ほんっとお前等、似たもの同士だよな」




 ヤンクミは笑いながら言う。
 
 その事を否定するように隼人と竜は顔を逸らせながら言った。




「勘弁してよ……」

「似てねぇだろ」

「似たもの同士だよ。
 ……武田のために頭を下げた小田切、仲間を巻き込まないようにたった1人で荒高の奴等と戦おうとした矢吹。
 やり方は違うけど、どっちも仲間のためにやったことだろ」




 そうだね……。

 2人は似たもの同士かもしれない



 でも……今はそんな事より………!!


















  パンッ――
     パンッ――

















 は思いっきり、小田切と矢吹の頬をひっぱたいた。
 当然、2人は驚きを隠せない。




「なっ?!」

「はっ?!」




 2人はほぼ同時に声を上げ、頬を片手で押さえた。




「……何すんだよ、

「………2人とも、1人でなんとかしようとかしないでよ……
 私だって…みんなもいるんだし………馬鹿

「あのなぁ……最後の“馬鹿”は余計だろ」

「…………」




 隼人はにつっかかり、竜は黙っていた。

 その様子を4人がクスクスと笑いながら見ていた事に3人は気づいていなかった。




「よぉーーし!みんな!!学校に帰るぞ!!」

「はぁ〜〜〜い!!」

「「「「え?」」」」




 ヤンクミは立ち上がって大きく手を振りながら歩いていく。

 ………小学校の運動会で入場するときってあんな感じだよね……


 ま、そう思いながらも私もヤンクミに続いて歩いてるんだけどね。


 啓太に聞いたところ……その後隼人が竜に謝ったらしい。

 くっ……見たかったっ!!




「お前等!あの夕日に向かって走ろう!!行っくぞーー」

「あはははははっ」




 やっぱヤンクミおもしろい!!

 だって今時“夕日に向かって走ろう”なんて言わないよ!




「「怪我してるっつーの」」

「おい!お前等、早く来いよ!!早く!!」

「みんな頑張れーー!」

も手伝えーー」

「あははっ」



































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あとがき

    早いものですねぇ。もう8話です(笑
    やっとドラマ2話分終わりましたね!!
    頑張ります!!



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